2019年10月12日から13日にかけて本州に上陸した台風19号。関東から東北にかけて甚大な被害が発生しました。10月15日現在も河川の氾濫・決壊により浸水している地域があります。各地で土砂崩れも起きており、未だ行方不明の方々が相当数おられるようです。
小諸市においてはそれほど大きな被害はなかったようです。
が、氾濫・決壊を起こした千曲川でひとつの橋が崩落しました。
大杭橋。
千曲川を渡る小諸大橋のすぐそばにかかる古い吊り橋です。かつては自動車も通っていたようですが、老朽化により車両乗り入れ禁止、最近は完全に立ち入り禁止となっていました。
とても趣きのある吊り橋で、春にはたもとにある桜の木とのコラボレーションがとても素敵で個人的にも思い入れがあります。
たしかにところどころ足元が抜けていて危険ではありましたが、なんとかあまり外観を変えずに安全対策を施して後世に遺してほしい、と思っていました。
同じように思う方々も多いのでしょう。2018年には「小諸ふるさと遺産」に認定されました。
小諸市内で千曲川にかかる橋として、現存する唯一の吊り橋です。
1919(大正8)年3月に竣工したこの吊り橋は1981(昭和56)年に大規模改修が行われました。
竣工当時、川辺地区に電気を供給する機能も担っていました。
隣にある現代的な小諸大橋と重なる眺望風景が千曲川の風情を感じさせます。
(小諸ふるさと遺産認定証より)
台風が去った13日、SNS上で「使われてない古い橋が落ちた」というpostを目にしました。
「まさか」とは思ったのですが、胸騒ぎがして、訊いて確かめるより見に行こう、と。
その「まさか」でした。
大杭地区側の橋脚とともに1/3ほどがなくなっていました。
大変ショックでした。
橋脚のかなり高い位置に上流から流れてきたであろう流木や木の枝が絡みついており、相当な水かさになったことがわかります。
大杭地区側の橋のすぐ手前に「吉野家」という旅館があります(※すでに営業はしていない)。そこの娘さんと偶然会うことができ話が聞けました。
前日はご両親とともに避難をしていて、橋が落ちたことは市役所からの連絡で知ったとのことでした。また、そこまで降りていく途中一部道路が崩れかかっていたのですが、その点も挙げられて、大杭橋がなくなったらイザという時の避難路がなくなってしまう、とも仰っていました。
そういったこともあって、ご両親が橋を遺せるようにと市に掛け合っていたのでふるさと遺産に認定されたのでは、とのことでした。たしかにそうなれば修繕の理由にもなると思います。
「もう使われていないのだから」と言われればなかなか難しいのかも知れませんが、なんとか再建していただけることを望みます。
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崩落した側の岸には廃屋が2軒ありました。そのうちの上流側のひとつが跡形もなく消えてしまっていました。
建っていた場所は基礎ごとえぐり取られたかのように凹んでおり、どれほど流れが凄まじかったのかと恐ろしくなります。
もしかすると流されたその建物が激突して橋脚が流されたのかも知れません。